上陸許可基準だけでは足りない?在留資格審査における「相当性」
前回、前々回の記事では、「在留資格該当性」と「上陸許可基準」という在留資格審査の基本について解説しました。今回はその総まとめとして、在留資格該当性や上陸許可基準を満たしていても不許可となり得る理由である「相当性」について解説します。
相当性とは
「相当性」とは、在留資格該当性や上陸許可基準といった形式的な要件を満たしているかどうかにとどまらず、申請人の学歴・職歴、業務内容、在留状況などを踏まえ、その外国人を当該在留資格で日本に在留させることが相当かどうかを総合的に判断する考え方です。
相当性は法律で明文でされた要件ではない
相当性は、入管法に明確に条文として規定されている要件ではありません。しかし、出入国在留管理庁が公表している各種ガイドラインや運用において、在留審査の重要な判断要素として位置付けられています。そのため、在留資格該当性や上陸許可基準を満たしている場合であっても、「相当性」が認められないと判断されれば、不許可となります。
相当性を問われるのはいつか?
在留審査において相当性が問われるのは、主に次の申請の場合です。在留資格認定証明書交付申請(COE)の時は相当性は問われません。
- 在留資格変更許可申請
現在の在留資格から別の在留資格へ変更する際、活動内容・就労実態・生活状況などが、変更後の在留資格として相当かが審査されます。 - 在留期間更新許可申請
これまでの在留状況(就労内容、報酬、納税、法令遵守状況など)を踏まえ、引き続き在留を認めることが相当かが判断されます。
在留資格の「相当性」を判断するガイドライン
「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」①~⑧
「相当性」は入管が公表している「在留資格の変更・更新許可のガイドライン」に基づき、個別具体的に判断されます。
入管は、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請において、変更・更新を認めるに相当かどうかを、次の①~⑧の事項を総合的に考慮して判断します。
- 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
- 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
- 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
- 素行が不良でないこと
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 雇用・労働条件が適正であること
- 納税義務等を履行していること
- 入管法に定める届出等の義務を履行していること
上陸許可基準は、本来は外国人が日本に上陸する際の基準ですが、入管が公表している「在留資格の変更許可申請・在留期間更新許可申請のガイドライン」において、相当性の判断の要素としても位置付けられています。申請人側から見ると、「一度許可されたからもう見られない」、「更新だから大丈夫」という考え方は危険で、在留資格該当性・上陸許可基準を満たしている状態が継続しているかが、相当性の中で常にチェックされていると理解すべきです。
③~⑧は「相当性」独自の判断要素
ガイドライン①および②については、厳密には①在留資格該当性および②上陸許可基準に関する判断要素です。しかし、在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請においては、これらの要素も「相当性」の判断材料として改めて審査されます。
以下、③~⑧の解説です。
③・・・申請人である外国人が、現に有する在留資格に応じた活動を行っていたことが必要です。例えば、大学を除籍・退学後も在留を継続していた留学生については、消極的な要素として評価されます。
④・・・素行について善良であることが前提となり、良好でない場合には消極的な要素として評価されます。
⑤・・・申請人の生活状況として、日常生活において公共の負担となっておらず(生活保護を受けてない等)、かつ、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることが求められます。
⑥・・・我が国で就労している(しようとする)場合には、アルバイトを含めその雇用・労働条件が、労働関係法規に適合していることが必要です。
⑦・・・納税義務がある場合には、当該納税義務を履行していることが求められ、履行していない場合には消極的な要素として評価されます。
⑧・・・入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人の方は、在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失等による在留カードの再交付申請、在留カードの返納、所属機関等に関する届出などの義務を履行していることが必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、在留資格審査における「相当性」について解説しました。
「相当性とは何か」「いつ、どのように判断されるのか」という疑問について、理解を深めていただけたのではないでしょうか。
在留資格審査では、在留資格該当性・上陸許可基準・相当性の3つを、申請書類や疎明資料を通じて立証していく必要があります。要件を形式的に満たしているだけでは足りず、個別事情を踏まえて在留を認めることが妥当かまで判断される点が、相当性の重要なポイントです。
申請内容に不安がある場合や、理由書の作成に迷う場合には、専門家に相談することをおすすめします。

